木の家が家族を幸せにする理由
木のぬくもりに囲まれた家は、ただ美しいだけでなく、人の心と体に優しく寄り添い、穏やかにし、
日々の疲れを癒してくれる特別な場所です。
家族の笑顔が集まる木の家の幸せな秘密を、科学的に検証されたデータをまじえてご紹介します。
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木の香りで心も体もリラックスできる効果がある?
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心理的な効果はもちろん、血圧を低下させるなど、
体もリラックスさせる作用を持つことが明らかになってきました。
樹木はそれぞれ樹種に固有な匂いを持っています。 まだ新しい木の家に入ると、木の匂いがいっぱいで何となく気持ちが落ち着くものです。 このような日本の木の家に多く使われているスギやヒノキなど 針葉樹の匂いについて研究が進んでいます。
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スギチップの匂いの作用により血圧が低下したとの報告があります。
研究では、20代の男性被験者14名がまず静かに20秒間休んだ後、スギの香りを90秒間楽しみました。その結果、香りを嗅ぎ始めてから血圧が自然と下降し、特に開始から40~60秒の間には明らかに血圧が落ち着いていることがわかりました。普段、ストレスを感じると上昇する血圧が、スギの香りによって穏やかになることから、心がほぐれ、リラックスしている様子であったことがわかります。
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匂いの心理的影響について
誰もが、ふとした瞬間に漂う香りによって心が落ち着いたり、元気を取り戻したりしたことがあるでしょう。 特に、スギやヒノキのような日本固有の木々の香りは、私たちの記憶に深く根付いています。 香りが心に与える影響には、数多くの研究が存在します。 例えば、歯科医院の200人の患者を対象にした研究では、待合室にオレンジやラベンダーの香りを流したところ、患者の不安が軽減し、全体的な気分が向上するという結果が報告されています。
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ストレス (リラックス) と血圧や心拍数の関係
技術の進歩により、ただアンケートで感じた気分を尋ねるだけでなく、香りによる生体反応を精密に測定することが可能になりました。 通常、ストレスを感じると血圧や心拍数が高まり、体は防御態勢をとります。 一方で、リラックスしている時はこれらの指標が低下するとされています。
このため、血圧や心拍数のデータからは、人がストレスを感じているのか、それともリラックスしているのかが読み取れます。 また、ストレス時に血液や唾液に分泌されるホルモンを分析することで、体のストレスレベルをより詳細に把握する方法も開発されています。-
木材の匂いを嗅ぐと、免疫力がアップする?
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ヒノキの匂い成分がヒトの免疫細胞の働きを
上昇させたとの報告があります。
私たちの体には、ナチュラルキラー(NK)細胞という名の免疫細胞が存在し、健康を守る重要な役割を果たしています。
東京で働く30代から60代の男性を対象に行われた研究では、ヒノキの香り成分である精油がNK細胞の活性を高める効果があるかもしれないと示唆されています。ヒノキの精油を放出した部屋で3日間過ごした結果、滞在前と比べてNK細胞の活性が顕著に向上していることが確認されました。 さらに、ストレスのマーカーである尿中のノルアドレナリンのレベルも滞在後には明らかに減少していました。
これらの変化から、ヒノキの香りがストレスを軽減し、それがNK細胞の活性を促進する可能性があると考えられています。-
木材は視覚や心理的にどのような効果がある?
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木材は視覚的に心理的な印象に影響するとともに、
心拍などの生理面に影響することが明らかになりつつあります。
木材の見た目は、その色合い、独特の木目、そして表面の光沢によって特徴付けられます。 内装に木材を取り入れた空間は、見る人に「温かみ」と「自然の感触」を感じさせるだけでなく、血圧や心拍数といった生理的な反応にも良い影響を与えることが科学的に証明されています。
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木材が持つ自然の魅力は、私たちの生理的な感覚や心地よさに影響を与えていることが、徐々に明らかになってきています。
検証:木材率が生理応答や快適感に影響を
同じ広さと家具を備えたが、木材使用率が異なる部屋で、血圧や心拍数、脳の血流などの生理的反応と部屋に対する感想の評価を行いました。 その結果、木材を45%使用した部屋では心拍数が顕著に上昇し、一方で木材を90%使用した部屋では収縮期の血圧が明らかに下がることがわかりました。 しかし、木材を一切使っていない部屋では、これらの生理的な反応には変化が見られなかったのです。
内装デザイン-1 / (木材率を変えた内装) 出典/Tsunetsugu, Y., et al.: J. Wood Sci., 53, 11-16 (2007)